仕事にやりがいを見出せない、将来のビジョンが描きにくい、給料に不満がある、通勤時間が長すぎる……。
転職を考えだすきっかけは、人それぞれ。
その中でも多くの人がきっかけとして挙げるのが「人間関係の悩み」です。
些細なことから同僚や先輩との関係が上手くいかなくなってしまったり、嫉妬をされてあらぬ噂を立てられたり……ちょっとしたトラブルから会社に行きづらくなってしまった、という話をよく耳にします。
裏を返せば、仕事の内容に多少不満があったとしても、人間関係がとびきり良好な職場であれば仕事を続けていこうという気持ちになることもあります。
そのくらい人間関係が「働く意欲」に占める割合は大きいといえるでしょう。
そして、職場での人間関係の悩みの究極形ともいえるのが、「パワハラ」です。
同僚とのトラブルに比べて、パワハラの場合は先輩や上司が相手となり、仕事の進め方や自身の評価に直接関わってくるため、悩みのスパイラルから抜け出しにくく、もしかしたら自分にも原因があるのでは?という気にもさせられてしまいがちです。
ワンマン社長に「誰のおかげで働けていると思っているんだ」と罵声を浴びせられたり、社長の顔色を伺ってばかりいる上司に理不尽な扱いを受けたり、なんてことも。
そんな環境で、ひたすら耐え忍ぶ必要はありません!
スッキリとさよならして、新しい環境で再出発することをおすすめします。
そこで今回は、「パワハラをきっかけに転職を考える時、知っておくべきこと」をご紹介いたします。
■知っておくべきこと①「会社都合退職」で離職することは可能!
仕事の内容や環境など、パワハラ以外の面では今の仕事に満足している。
パワハラさえなければ本当は転職したくない。
そんな気持ちが少しでもある場合は、社内の相談窓口だけでなく、「法務省 みんなの人権110番」「NPO法人労働組合作ろう!入ろう!相談センター」「法テラス」などの第三者機関に相談・介入してもらうことで改善させるという方法もあります。
しかし、そこまでして解決する気力もない!もうこんな職場に何の未練もない!
そんな時には、迷わず転職への第一歩を踏み出しましょう。
この時にひとつ押さえておきたいのが、「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いです。
◆自己都合退職
結婚・転居・介護やより良い仕事・待遇を求めて自分が希望して退職する場合。
一般的な退職ではこのケースが多くみられます。
◆会社都合退職
業績悪化や経営破綻などにより退職を強いられたり、人員整理により希望退職に応じた
りなど、自分の希望に反して退職する場合。
パワハラが原因で離職する場合も、会社都合退職に当てはまります。
自己都合退職の場合、退職後にハローワークで申請をして失業給付金の支給を受けるまでに3か月の給付制限期間(*1)がある上、会社都合退職に比べると退職金の額も少なくなることの方が多いようです。
また、給付期間自体も会社都合退職の方が長くなっています。
つまり、パワハラがきっかけで退職する場合、失業給付金受給のメリットを考慮すると、自己都合退職ではなく会社都合退職の形を取るという選択肢があることを覚えておきましょう。
会社によっては諸事情により自己都合退職を勧めてくる場合もあるようですが、退職時に自己都合退職とされても、後にハローワークにてパワハラの証拠を提出し認められれば会社都合退職へと変更できるケースもあります。
*1 令和2年10月1日より、5年間のうち2回までに限り、自己都合退職における給付制限期間は2か月に短縮されます。
■知っておくべきこと②慰謝料などを請求することも可能!
病気になってしまった、不当な降格を受けた等、パワハラで被害を被った場合、ただ泣き寝入りする必要はありません。
ただ悔しい思いを胸に離職するのではなく、法的措置を講じて示談金や慰謝料を請求することも可能です。その際は、弁護士に相談・依頼をすることになりますが、手続きを進めていく上で以下の物を用意しておく必要があります。
◆出来事を記録したメモ
「何月何日、誰からどんな言動があった」「何月何日、誰が何を行った」など、日記のよう
にできるだけ詳しい事実を時系列で記録に残しておきましょう。
◆音声データ
録音が可能な環境であれば、上司が実際に発した言動やそれに対する自分の受け答えな
どを音声データとして残しておくと、最も効果的な証拠となります。
◆診断書
パワハラが原因で精神のバランスを崩してしまったり、会社に行きたくても行くことができなくなったりした場合、また暴力を受けた場合などに病院を受診して診断書をもらっておくと、客観的にパワハラを証明することができます。
これらは、いざパワハラ被害の渦中にあっては急に準備をすることが難しい物ではありますが、法的措置を講じる可能性があると判断した時には、重要な証拠として欠かせない物ばかりです。
いざそのような可能性が生じた場合には、冷静に少しずつ準備を整えていくことを頭の片隅に置いておくとよいでしょう。
また、前述の会社都合退職を選択する際にも有効な証拠として働きます。
■自身で判断することで「前向きな転職」にしよう!
パワハラを受けて転職を考える場合、ただやみくもに退職するのではなく、ご紹介した2つの選択肢があることをまずはおさえておくべきです。
会社都合退職を選択した場合、後の転職活動における面接で退職の理由を詳しく聞かれることもあるため、どのように説明すべきかを事前に練っておく必要があるためです。
そして法的措置を講じる場合には証拠集めや弁護士との相談、実際の手続きなど、かなりの時間や労力を費やすことになることも否めません。
このような側面も踏まえた上で、「自分が後悔しない方法は?」「取るべき対策は?」と
能動的に考えて退職への道を進んでいきましょう。
そうすることで、気持ちも晴れやかに自分で選択して前進していったという実感を持ちながら転職活動を進めていくことができるのではないでしょうか。
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